Uncountableプラットフォームは、複雑なそれでいて合理的な要件の下で処方のパフォーマンスを改善できる点において優れています。一般的に、Uncountableプラットフォームはa)原料と工程条件に基づくインプット空間を効率的に探索し、b)すべての仕様の目標に沿って製品の性能を向上させるために使用されます。
多くの場合、プロジェクトは複数のユースケースの組み合わせから成り立っており、個々のプロジェクトのデータを集約することで、部分的に集めた場合よりも開発速度の点で大きなメリットが得られます。しかしながら、この考え方はあくまで一般論です。そこで、ここではいくつかのユースケースと例をご紹介します。
- コストの最適化(加えてその他の処方の線形特性)
- 原料の置き換え
- ベンチマークや確立された製品の調査
- 「用途変更」
- 「製品の強化」
- 実験を実際に行う前の性能予測
- 処方を拡大または生産段階に移行する
- 同時に複数のルートを試す
- コストの最適化(加えてその他の処方の線形特性)
Uncountableは、コストがよく知られている例である線形制約に従った提案を生成できるよう設計・最適化されています。
そのため、配合コストを削減あるいは維持しつつ、原料の置き換えや性能の向上を図ることができます。これは、価格(あるいはその他の属性)を、異なる場所やプロバイダー、ロットを検討することで実現します。
コストの最適化が目的のプロジェクトでは、以下を実施します。
- 特定の範囲内に収まる式を提案する:画面右上のプロジェクト名をクリックして表示されるメニューの[プロジェクトの制約条件を設定]を選択。[詳細制約条件]->[+ 計算の制約条件]->関連する(定義済みの)計算を選択->[最大]セルに合理的な値を設定。
- 特定の範囲内に収めるだけでなく目標コスト/量を最小化する:画面右上のプロジェクト名をクリックして表示されるメニューの[プロジェクトのスペックを設定]->[+ 計算を追加]をクリック->関連する(定義済みの)計算を選択->関連する(定義済みの)計算を検索して選択->新しく追加された行で、[最小化(≤)]を選択して合理的な上側限界と目標を設定。
オプションAとBを設定すると、Aのみを設定した場合と比べて、提案のばらつきが少なくなる可能性があります。
2. 原料の置き換え
特定の利用したくない原材料を除外する作業は、実験の設計プロセスにおいて一般的に行われます。サステナビリティ、コスト、サプライチェーン、毒性のほか、さまざまな理由からこの作業が行われます。
よくある例が、供給原料の種類、天然素材の総含有量、炭素排出量、ビーガン評価などを基準に選択された、環境に優しい原材料のみを検討する「グリーン材料への置き換え」です。このユースケースは最近になって注目が高まっています。実質的にこれまであまり使用されたことのない実験的な原材料を使用して「新しく革新的な」ソリューションを取得することが目的であることが多いため、このワークフローはより探索的なものとなります。
こうしたプロジェクトでは、処方の多くが同じで、一部の原料が置き換わるのみだと予想されます。そのため、以下の作業を行うことをお勧めします。
- 既存の処方に基づいて制約条件を設定します。制約条件のページで歯車ボタン([+新規作成]の隣)をクリック->[過去実験をベースに制約条件を作成]をクリックして調査対象の処方を選択-> [Use]列で「常に使用」または「未使用」のいずれかを設定して原料の使用/未使用を設定。下にスクロールして、[+追加 原料]をクリック->[カテゴリ]またはじょうごボタンをクリックして一般属性で絞り込む->原料のリストを一括で追加し、合理的な最小/最大値を設定。
- 「実験を提案」ページでは、「3.ユーザー設定から実験点の推奨」を選択し、「制約条件を選択」オプションを(「自動選択」原料オプションではなく)選択。さらにドロップダウンメニューから、定義した制約条件を選択。[詳細設定]をクリックして[追加の原料を提案しますか?]が選択されていないことを確認してください。多数の原料がリストされている場合、[原料の範囲と確率を調整?]を選択してもよいでしょう。
3. ベンチマークや確立された製品の調査
いくつかの原料あるいは原料グループを置き換えたり、処方を少し変更したりすることで、その処方がどのような性能になるか確認する作業は一般的に行われています。
こういった場合は通常、原料のほとんどが固定(常に使用し、同じ最小/最大値を使用する)であるため、制約条件は厳しく、柔軟性もあまりありません。このため、モデルにその最大値または最小値に近い提案を生成するように依頼すると、非常によく似た処方が提案されることが多いため、最適化とは反対に、制約条件から実験点を探索オプションのほうが、多様な処方を得られることがあります。
そこで、まずは2)に示す方法をテストすることをお勧めします。その結果、非常に似た処方ばかりが提案される場合は「3. ユーザー設定から実験点の推奨」ではなく「2. 制約条件から実験点を探索」を試してみてください。
4. 用途変更
既存の製品を似たような用途に転用できる場合は、このプラットフォームで、(同様の原料のセットと重複する特性のセット、ただし目標が異なる)似た製品のバックグラウンドデータを利用することができます。
例:
- 異なる規制要件を満たす
- 地域的な好みに合わせる
5. 製品の強化
製品の強化も、用途変更の場合と同様な方法で検討することができます。成功したメトリックにはたくさんのバックグラウンドデータが存在します。これらの仕様を新しい種類のアウトプットを利用して強化していきます。このアウトプットとして、プロジェクト、製品、あるいはラボ独自のものも利用できます。
新しい特性と、プラットフォームで利用可能な一般的な特性との間に相関がある場合、解析および可視化ツールで簡単にその関係性を明らかにして、既存の製品を新しい製品のための「代替のアウトプット」として用います。同じ特性に対応するが、異なる単位や等級システムで測定された値を利用し、後で標準化されたアウトプットに変換するといった場合が考えられます。
6. 実験を実際に行う前の性能予測
このプラットフォームでは、DOE用に選ばれた最新の機械学習モデルを作成し、テストされていない処方の性能予測や一般化に利用することができます。
モデルの精度が十分高い場合、あるいはテストした処方が現在のデータセットに近い場合、予測ツールを使うと作業の手間を減らすことができます。
予測は、入力内容に従って、提案全体の相対的な性能を比較することによって、あるいはトレーニングセットで使用される既存の処方の予測に対して検討する場合のみ行ってください。
同様に、他のソースからの直接予測も、ダイナミック計算の形でこのプラットフォームで実施できます。この例には、次のようなものがあります。
- 既存の一般的なアウトプットが新しいアウトプットと高い相関があることが分かった場合。
- 工程条件や処方をその量や属性に応じて取り込む計算に基づいてアウトプットを予測するための支持理論が存在する場合。
7. 処方をスケールアップまたは生産段階に移行する
処方がラボの目的に従った性能となった後は、スケールアップさらに生産段階に進める間に追加の変更が加えられることがあります。この作業は通常、バッチサイズ、環境、測定精度などが変化し、ラボでの性能が再現できなくなることが多いため、複雑になります。
このプラットフォームは、こうした後段階に対応する新しい工程条件とアウトプットをシームレスに組み込み、処方を調整する作業にも適しています。このユースケースは、上記のユースケースをさらに広げたものとして考えることができます。工程条件はもう1つの別の種類のインプットとして扱われるため、使用するメソッドに異なるパラダイムはありません。ただし、工程条件はカテゴリカルであり、原料の合計が100%でなければならないといった一部の制約を受けないという点が異なります。
8. 同時に複数のルートを試す
製品によっては、一度に複数の分野での研究開発が必要になる場合があります。処方では原料をただちに置き換える必要があり、それによってより適した処方になる可能性もありますが、必ずしも同時に、あるいは同じ期限で交換するとは限りません。
このプラットフォームでは、1つのプロジェクトの仕様とインプットの制約の両方の異なるセットをエンコードできるため、ラウンドの反復を並行して実行できます。[名前を付けて保存]をクリックしてコピーに名前を付けて保存することで、制約や仕様セットのコピーを作成できます。別のセットを読み込むには、[制約条件/仕様を読み込む]をクリックします。