ここでは、Uncountableプラットフォームで使われている主な用語について説明します。
アスタリスク「*」が末尾に付いている用語は、ユーザーが個人的に、または管理者が企業ごとに定義することができます。これは、「言語を変更」から行えます。
実験*
Uncountableでの「実験」とは、インプットとアウトプットをセットにした一意の記録のことです。一意のIDに関連付けられており、原料の定式、工程条件、その定式に対するすべてのアウトプットを含めたものです。アウトプットには、複数の複製サンプルを関連付けることができます。引張試験用に3つのドッグボーンを使用する処方の場合、各アウトプットを同じ実験の複製として記録できます。
プロジェクト*
プロジェクトは、複数の実験をまとめておくフォルダの役割を果たします。多くの場合、目標や仕様別に作成します。Windowsなどの標準的なデスクトップOSのフォルダと同様に、プロジェクトの中にさらにプロジェクト(子プロジェクト)を作ることもできます。子プロジェクトに保存した実験はすべて、親プロジェクトでも表示・編集ができます。また、ある地域のすべての開発をまとめる、開発実験と生産実験を分けてまとめる、といったように、もっと大きな単位でプロジェクトを設定して使うこともできます。
材料ファミリ*
「材料ファミリ」は、プロジェクトが存在するエンティティであり、データを異なる化学製品や事業分野で分ける区切りの役割をします。材料ファミリは、Uncountableの構成の一番上に位置づけられており、多くの場合、互いに関連しない実験を視覚的、機能的に分けるために使われます。材料ファミリ間で実験を移動することはできませんが、原料、工程条件、アウトプットは材料ファミリ間でリンクでき、同じ情報を各材料ファミリで保持することができます。例えば、コンパウンドメーカーの場合、別の材料ファミリに属するPVCコンパウンドを、TPUコンパウンドの材料ファミリでも使うことができます。
インプット*
プラットフォームのすべての原料、工程条件、インプット計算を指します。
原料*
Uncountableでの「原料」とは、プラットフォームで使用される原材料を指します。原料はN550やDINPといった一般成分名ではなく、市販名を使用しています。
工程条件*
Uncountableでの「工程条件」とは、原料の定式や組成の処理方法に関する重要な情報を設定したものです。一般的な工程条件には、混合速度や時間、使用する機器の具体的な名前の指定などが考えられます。工程条件には数値、文字列、カテゴリ、日付を含めることができます。
アウトプット*
アウトプットは、実験の結果やサンプルの処理中に記録される、プラットフォームのすべての特性または依存変数全体を指します。アウトプットは、引張強度、粘度、粘着力等の特性を表すために使われます。アウトプットには数値、カテゴリ、文字列フィールドのほか、日付、ファイル、曲線、カラータイプフォーマット(ラボ値)、時系列曲線、計算を含めることができます。数値で表されるアウトプットには単位を指定する必要があります。アウトプットをカテゴリ別にして、アウトプットに属性を関連付けることができます。
インプット計算*
インプット計算は計算の変数がインプット値(原料または工程条件)に依存している計算を作成する場合に使用されます。処方に一般的に使用される計算の例には、処方コスト、化学量論比、単比などがあります。
アウトプット計算:アウトプット値を含む変数を使用している計算のことです。ただし、インプット、アウトプットメタデータ、条件パラメータなどの要素も含められます。アウトプット計算の例には、時間経過による引張強度の変化や異なるせん断速度での粘度比、反応収率などがあります。
インプットグループ:処方の編集中やワークフローのステップの定義時にインプットのセット(原料と工程条件)を一括で追加する際に使います。インプットグループは、インプットライブラリでユーザーが設定します。また、公開または非公開に設定できます。
アウトプットグループ:あらかじめ定義した条件パラメータのアウトプットのセットを一括で追加する際に使います。アウトプットグループは非公開にすることも、すべてのユーザーで共有することも、特定のユーザーとのみ共有することもできます。アウトプットグループは一般に、頻繁に行われる測定(硬度、引張強度、粘度といった基本的な物理特性など)や、時間の経過を待って複数回行う測定(1日、3日、7日後の粘度など)のセットを作るために使用します。アウトプットグループに含められるアウトプット数に上限はありません。アウトプットグループは、テストサンプルテンプレートやワークフローの定義で参照できます。
実験グループ:ダッシュボード上に表示する際に実験を入れ子構造のグループにまとめて整理する方法です。実験グループを使用することで、プロジェクトダッシュボード上に表示される項目数(行数)を減らすことができます。実験グループは、ダッシュボードの左側にある展開アイコンをクリックすることで展開できます。
ノート*:構造化されていない、自由形式のワープロ文書で、プロジェクトや実験と関連付けることができます。現在、プロジェクトレポートで次のように使用できます。 ・実験ELNとして ・ビジュアライズやテーブルの収集用スクラップブックとして ・共通ビジュアライズのダッシュボードとして ・将来の参考資料、あるいは実施された解析に関する背景を記すドキュメントとして
処方*:実験の原料と工程条件のセットを指します。定式の組成を編集または作成する際に表示するのが「処方エディタ」ビューです。
アウトプット*:実験で記録されたアウトプット値を指します。引張強度の値をプラットフォームで入力する際に表示するのが「アウトプットエディタ」ビューです。
条件パラメータ:アウトプットの測定方法に対して設定し、それぞれ異なる測定方法とするための記述子変数です。例えば、サンプルの放置時間や、接着試験で使用する基質などを条件パラメータで定めます。条件パラメータは、アウトプット間で共有されます。また、文字列、数値、日付形式を使用できます。どのアウトプットでも、条件パラメータの「デフォルト」のセットを、ユーザーベースまたは材料ファミリ全体で設定できます。
実験メタデータ*:工程条件以外の情報や、処方の組成に関する情報を収集・保存しておくことができます。例えば、工場の場所や処方作成日などを処方メタデータに保存しておくことができます。
アウトプットメタデータ:特定のアウトプットに関連しているが、必ずしも表示しておかなくてもよい情報、あるいはアウトプット間で差がない情報を収集・保存しておくことができます。アウトプットメタデータの例には、サンプル番号や使用抽出とレイホルダーなどが考えられます。アウトプットメタデータフィールドは、アウトプットライブラリに作成できます。また、値は「アウトプットエディタ」ビューで編集できます。
原料の属性:プラットフォームでの原材料の記述子です。記述子は文字列、数値、PDF情報に使用できます。例えば、サプライヤー、分子量、TDSはすべて原料の属性です。原料の属性はユーザーがすべて設定することができます。また、すべてのビューで検索、およびビジュアライズツールでプロットできます。
アウトプットの属性:原料の属性と同じような、アウトプットの属性です。試験方法番号や完全な試験方法のSOP文書などが考えられます。
原料カテゴリ*:似たような原料をカテゴライズしておくために使います。原料のカテゴライズは、どのモデリング演習でも重要で、原料の並び替えや整理では第1階層の並べ替え項目として使われます。また、「フィラー」や「可塑剤」といったカテゴリを用いた絞り込みやビジュアライズにも使用できます。
サブカテゴリ*:原料のより具体的なカテゴライズです。多くの場合、カテゴリの中でさらに似ている原料をグループにしておくために使います。例えば、「フィラー」というカテゴリがある場合、そのサブカテゴリとして「カーボンブラックとシリカフィラー」を作り、原料を細かく分類するといったことができます。サブカテゴリで検索、絞り込み、プロットができます。
実験タグ:実験に仮想「ふせん」でラベルを付けておくことができます。タグは多くの場合、小実験や研究をまとめてグループにしておくために使います。例えば、1つのプロジェクトに15の実験があるとします。実験はすべて、新しいフィラーを見つけるためのものです。その場合、この15の実験にタグを付けて、そのタグに基づいて簡単に絞り込みやプロットができるようにすることができます。タグは、ユーザーがすべて設定できます。1つの実験に複数のタグを付けることができます。タグは複数のプロジェクト間で共有できます。また、あるユーザーのみに表示するよう設定することもできます。
プロジェクトタグ:実験タグと同様ですが、プロジェクトレベルのタグです。プロジェクトタグは、プロジェクトを互いに連携させるときに使うこともできます。ある場所で実施されたすべてのプロジェクトを表示したり、あるプロジェクトを正式な開発プロジェクトとして、他の小規模なローカリゼーションプロジェクトと区別する場合などに使うことが考えられます。
ラボリクエスト*:試験リクエストシステムの主要機能です。具体的な処方を添えたラボリクエストを作成して、その処方に従った測定を依頼します。ラボリクエストには任意のフィールドを関連付けることができ、設定と絞り込みを簡単に行えます。また、個々の測定はリクエストマネージャー内で割り当てと委任ができます。
ラボタスク:簡単なリマインダーです。試験装置を清掃する、一定時間経過後にサンプルをオーブンから取り出すなどといったラボでの小さな活動に使用できます。
ロット*:サプライヤーから受領した原材料のバッチを区別しておくために使います。通常、各ロットには一意の識別番号を付けます。例えば、サプライヤーからカーボンブラックを購入する場合、実験でカーボンブラックを使う際に確認したいロット番号、COA、使用期限などといった情報が荷物ごとに付帯しています。ロットは、プラットフォームで直接作成して保存できます。また、分子量や粒径など、独自の情報を付け足しておくこともできます。これらは在庫モジュールでよく使われます。
混合順序:処方編集オプションです。処方を作成する際に、原料の混合方法において、混合する順序をまったく独自に作成できます。どの原料をいつ追加するかを定義する際に塗料調合者や配合者がよく利用する機能です。混合順序を作成した後は、原料や工程条件、ノートをその順序にドラッグアンドドロップして設定することができます。
ワークフロー*: モノマー混合における合成反応、配合設計、その他の手順上あるいは数学上区別することが重要なステップが含まれる場合など、複雑な処方構成を定義することができます。ワークフローは、名前の付いたステップで構成されます。各ステップではデフォルトの原料単位や、混合順序などを定義します。また、インプット計算をワークフローに関連付けたり、製品をワークフローそのものに関連付けたり、製品を使用する個々のステップに関連付けたりといったことができます。
ステップは、処方を細かいパートに分割したものです。例えば2K定式では、ステップを使ってパートA、パートB、混合速度を定義できます。あるいは、多段階コンパウンド処理では、コンパウンド処理の段階ごとにステップを定義することができます。ステップはユーザーが独自に追加するものと、ワークフローに組み込まれているものがあります。
製品*:プラットフォーム内で使用されます。製品、あるいは具体的な実在する製品で、ロットまたは他の構成処方の形式で参照できるように、処方を作成/定義するときに使う反復可能な単位(原料と実験のいずれか)を表します。例えば、木製品用の新たなコーティング剤を開発中だとします。コーティング剤チームがその定式で「原料」として使用するポリマーを開発するチームが別にある場合、「内部ポリマー」を原料タイプの製品として定義することができます。定式時に「内部ポリマー」を選択すると、コーティング剤の調合者に提示される実験リストには、ポリマーチームが生成したポリマー実験のみが表示されます。
あるいは、バッテリを製造しているとします。スラリー開発チーム、電極開発チーム、セル作成・試験チームがあります。スラリーチームが処方とアウトプットの取得のため使っている各実験を、「スラリー」という製品内に作ります。そうすると、電極開発チームが電極の作成方法を決定する際に、自分たちのワークフローからスラリー製品を直接参照できるようになります。セル作成・試験チームでも同様のことが言えます。実在する電極製品(陽極と陰極を別の製品にする場合もあります)をセル設計に利用することができるようになります。「製品」を活用することで、別々のチームでもシームレスに作業することができ、チームはそれぞれ、部品や処方をより大きな構成物のために開発することができるようになります。
制約条件:実験の提案としてインプットに制限を定義することができます。制約条件によって、原料の使用頻度(毎回、時々、使わない)や使用量の制限(下限と上限)を定義できます。例えば、定式で特定のポリマーを使用したいが、使用量を定式の10%~25%に収めたいときは、制約条件で最小を10%、最大を25%に設定します。制約条件には、工程条件、インプット計算、原料やカテゴリの配合比を含めることもできます。
スペック*:アウトプット目標のセットです。プロジェクト、あるいは具体的な最適化の目標に向けてユーザーが定義します。アウトプット一覧にCTQのセットを定義し、アウトプットの優先順位、具体的な値の最大化を目指すか最小化を目指すかを設定します。例えば、15 MPaを超える引張強度と、150%を超える伸長度を実現する実験のセットを設計する場合に、こうした目標をスペックで定義することができます。スペックは、最適化作業には欠かせないもので、目的検索のほか、「実験を比較」ビューで測定値が色分けされて確認できます。
テストサンプル*:親実験のアリコートや子サンプルを表します。追跡や命名のためある一意のIDが必要な場合に使用します。テストサンプル自体は「実験」ですが、親実験への固有のリンクが付いています。作成したテストサンプルはプロジェクトダッシュボードの現在のプロジェクトに表示されますが、実際には、テンプレート作成時に指定した場所に保存されています。テストサンプルはラボリクエストから、またはアウトプットの編集で直接作成できます。
テストサンプルテンプレート:インプットとアウトプットのテンプレートセットを表します。リクエストまたはアウトプット編集でのテストサンプルの生成時に自動的に関連付けられます。テストサンプルテンプレートは、インプットグループとアウトプットグループを組み合わせたもので、ユーザーは、自動的に表示するインプットフィールド(原料/工程条件)とアウトプット(測定値と条件)を定義できます。